巣ごもり需要「ゲーム」に期待が集まるが……
武漢肺炎(新型コロナウイルス)のパンデミックによって、早くから巣ごもり需要として注目されていたのが「ゲーム」です。
家にいる時間が増える事によって家庭内で消費出来るエンタメの需要は飛躍的に増しており、電子書籍やNetflixなど有料サービスの需要が増加、他にもYoutubeはトラフィックが増大になり画質を落とす事を発表するなど、パブコメを捏造してまでゲーム・スマホ規制を進めた香川県を尻目に世界的にも空前の「巣ごもり需要」が発生していると言えるのではないでしょうか!
さて、そんな巣ごもり需要。
これだけ言うからには、さぞ好影響が出ているのではないかと思って株価を調べてみたのですが、意外な結果が。
巣ごもり需要、アプリゲームに恩恵なし!?
凄いぞ任天堂!
ゲームの「巣ごもり需要」で最も好影響を受けているのが任天堂です。
4月15日には、なんと1250円も株価が上昇しており、現在の株価は46,730円と、ついに4万6千円を回復。この水準は2019年11月以来の高値となっており、武漢肺炎(新型コロナウイルス)でどん底まで落ち込んだ株価をいち早く戻し、更に上へ上昇させています。
好調の要因は、言わずもがな『あつまれ どうぶつの森』の超大ヒットが挙げられます。国内ではパッケージだけで初週188万本とスイッチ最速。DL版やカタログチケットによる交換を含めれば、初週だけで250万本近い本数が売れている事になります。その後も非常に速いペースで売れ続けており、この推移だと4月末には400万本近い本数になっているのではないでしょうか。
加えて、本来「どうぶつの森」シリーズは、何年間も売れ続ける息の長いロングセラー商品であることから、最終的な累計は600万本近くになるかもしれません。国内で600万本を超えたゲームソフトは「マリオ」と「ポケモン」しか存在しないので、この時代に伝説を超えられるのか「どうぶつの森」の挑戦に注目です!
更に、家に籠っているとどうしても運動不足に陥ります。
そこにジャストフィットなゲームが発売以来話題沸騰で武漢肺炎(新型コロナウイルス)騒動前から品薄が続いていた『リングフィットアドベンチャー』。
同じく任天堂が発売した新機軸のゲームソフトで、トレーニングとRPGを密接に結びつけた画期的な1本。
「この技(トレーニング)を使ったら俺の身体は……」、「もってくれよ俺の腹筋」とか言いながら大技を放ち筋肉痛になるという、文字通り自分の肉体を駆使してゲームを攻略していくストイックな面白さと本格的なトレーニングが奇跡的な完成度で合わさった、まさに任天堂しか提案出来ないであろう任天堂イムズの極致にあるようなゲームとなっており、こちらも大ヒット。
これら一連の大ヒットゲームや、従来からの定番大ヒットゲームも合わさり、巣ごもり需要が高まる中で、ここにきてNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)本体が再び品薄になるという発売初年度を彷彿とさせる状況となっています。
本体価格も高騰しており、中古価格も高止まりしていますが、本体の再出荷案内が出た事で緩和される事に期待しましょう!
世界的にこれだけ暗い話題が続く中、『あつまれ どうぶつの森』のスローライフな世界観に癒されるという人も多く、日本のみならず世界中で大ヒットしています。Twitterのトレンドにもひっきりなしにスクショなどが上がっています。もともと発売が延期になりこの時期となりましたが、怪我の功名というか、『リングフィットアドベンチャー』も世界的な大ヒットになっていますし、こういうところが任天堂が特別視される部分なんでしょうね。
他にもスクウェア・エニックスやカプコンなど大作を発売した大手も比較的素早く株価を元に水準に戻しつつあり、一見すると確かに「巣ごもり需要」があるのを感じさせてくれます。
え、セガ?
ハハッ
一方、全く株価が上向かないアプリゲームメーカー
任天堂の株価が物凄い事になっていたので、アプリゲームのメーカーも上がっているんだろうなと思って調べてみたのですが、これが何と一番底を形成してから上がり切っていないメーカーばかりで驚きました。
とりあえず主要なメーカーを20社程確認してみたのですが、何処もかなり厳しそう。
ここ数年来で女性向け最大の大ヒットIPと言える『ヒプノシスマイク』を使ったアプリゲーム『ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-』を3月末に配信したオルトプラスも、リリースゴールで下り最速、配信前の半値以下で株価が推移するなど期待外れな結果になっています。本社が池袋にあるので頑張って欲しい!
ガンホー、mixi、ケイブ、KLab、gumiなど色々と確認してみたのですが、巣ごもり需要が目立つ上昇傾向のメーカーはなく低迷しています。この期間、ゲーム内での課金額が増えていれば決算時に予想よりも良い数字が出る可能性はありますが、いずれにしてもこの結果は「巣ごもり需要」に注目が集まっても、既にアプリゲーム銘柄が全く期待されていないという事を意味しています。
実際にアプリゲーム市場は新作が全くヒットしない市場になり環境が激変。いつまでも国内メーカーがガチャに執着し依存する中、ガチャに頼らないマネタイズを構築している海外産のアプリゲームに市場を奪われつつあるなど、国内メーカーの凋落が顕著になっています。
そこにきて任天堂など、本来の家庭用ゲームを開発してきたメーカーがいち早く上昇トレンドに乗っているというのは、完全に時代が変わった事を意味しているのかもしれませんね!
実際、家でゆっくりゲームでもしようとなったとき、暇な隙間時間にはアプリゲームも良いですが、余裕があればちゃんとしたゲームで遊びたいという心理が働くのも当然かもしれません。
こうした事からも、既にアプリゲーム市場は魅力の乏しい枯れた市場となっていることは明白です。
このような状態で果たして幾つのメーカーが事情を続けていられるのでしょうか?
かつてスクウェアとエニックス、バンダイとナムコ、コーエーとテクモ、コナミとハドソンといったメーカー同士の合併が相次ぎましたが、アプリゲーム業界でも同様の事が起こる可能性は高そうです。どちらかというと大手のディベロッパーとして開発に参加したり、版権を使ったアプリを受託して運営するといった形になる方が多そうですが、どちらにせよ業界の再編は避けられません。
しかし当時と違うのは、かつてそれぞれのゲーム会社にはIPと呼ばれる資産があり、合併によってそれらIPの強化が図られましたが、アプリゲームメーカーには運営型ゲームの致命的欠陥として、会社の資産となるようなIPがまるで残っていないという事です。サービス終了でIPも全く資産とならず消滅する業界なので、別にその会社である必要がなく、価値が生まれないのは本当に厳しいですね。
例えばSNKプレイモアにしても、「KOF」の版権を持っているからこそ、今の時代に再び格闘ゲームとして復活させる事が出来るわけで、そういう未来に対しての資産がないのは厳しい。
因みに面白い話としては、サン電子が株主に「なんでお前らゲーム作らんのや!」とぶち切れられて役員が4人解任になりました。稼げない分野に注力せず稼げるゲーム事業に投資するよう経営陣の刷新が行われるというゲームクーデターのような起こっていたのですが、サン電子と言えば『マドゥーラの翼』。ファミコンより前のゲーム創世記からゲームを作ってきた会社でもあるので今後に期待です!
アプリゲームメーカーも、もうアプリゲームを捨てて家庭用で頑張ろうぜ!