ナイトタイムエコノミーで池袋はどうなる? オタク街としての夜遊び

「ナイトタイムエコノミーとは?」

年間3000万人を超える外国人観光客が訪日する中、注目を浴びている「ナイトタイムエコノミー」。
簡単に言ってしまうと、「夜が暇だから遊べるようにしよう!」という施策です。

夜というとどうしても必然的に犯罪の影がチラつくもの。東京ではこれまで大々的に所謂“夜の産業”が規制されてきたことから、折角、日本の旅行に来ても、夜はホテルで大人しくしているしかないという状況が多くなっています。

そこで、そんな夜の時間、正確には夕方から朝にかけての時間を友好的に活用しようというのが「ナイトタイムエコノミー」です。

勿論それが長時間労働に繋がり疲弊するだけの結果になることは望ましくないのですが、夜に劇場やお店などが空いていればグッと楽しみ易くなるのも事実です。

豊島区では、来年に開催される2020東京オリンピック・パラピンピックを目途に「豊島区アフター・ザ・シアター」を推進。
「Hareza池袋」のOPENなどで劇場都市として盛り上がる中、劇場で楽しんだ後の時間をどう使ってもらうのかということを焦点に「ナイトタイムエコノミー」を進めています。

WHOが推奨する安全、安心のまちづくり国際認証「セーフコミュニティ」を取得している豊島区では、治安を維持しながらどのように夜の街を作っていくのか、国際戦略を下に「アート・カルチャー鑑賞後のサードプレイスの実現」をキーワードに進む「ナイトタイムエコノミー」。

観光客向けだから関係ないでしょ?
と、思うかもしれませんが、そんなことはありません。

これはオタク街としての池袋を更に飛躍させるものになるはず!
そこで考えたいオタク街としてのナイトタイムエコノミー。

池袋に来る観光客

アニメイトさんによると、アニメイト池袋本店の来場者数は1日辺り約3万人に上るそうです!
かつて乙女ロードの牛乳パックビルにあった頃と比べて劇的に増えています。

アニメイトさんが乙女ロードから移転したのが2012年の11月。
この2012年という年は、日本の観光産業にとっても大きな転換点となります。

アベノミクスによる政策転換が大きな理由ですが、それはともかくとして、2012年には約835万人だった訪日外国人が、2013年に初めて1000万人を超えると、以降現在まで右肩上がりで増え続けており、2018年には年間3000万人を超えるまでになりました。2012年まではほぼ横ばいか緩やかに上昇という推移だったのが、2012年を皮切りに一気に増加していくことに。

この増加に観光地や周辺住民が耐えられなくなり起こっている問題が「観光公害」、「オーバーツーリズム」です。
このように訪日外国人が激増する中、その影響を受けているのは観光地だけではありません。

アニメイトさんに足を運んでみればすぐに分かりますが、恐ろしく外国人の方が増えています。
1日に約3万人という来場者の2~4割は外国人ではないでしょうか?

その為、現在は1階のメインフロアの棚を減らして通路を広く取っており、アニメなどの土産物コーナーを充実させています。2階から上のフロアでは外国人向けの翻訳コミックのコーナーも作られるなど、外国人に向けた商品展開なども行われており、アニメイトの主要な客層となっています。

外国人観光客と一口に言っても、その中には海外のオタク層も多く含まれています。
つまり、必然的にナイトタイムエコノミーにも、今後そうした視点が盛り込まれることは間違いありません。

オタク街として、どのように夜を楽しむのか?
それもまた池袋の新しい課題の一つとして、今後議論されていくことになりそうです。

深夜の鉄板「オールナイト上映」

夜中の楽し方で真っ先に思い浮かぶのはオールナイト上映です。
幸い池袋は劇場都市であり、「Hareza池袋」や「グランドシネマサンシャイン」などを筆頭にサンシャイン60エリアに過剰な程に劇場が密集している構造なので、そうした有り余る劇場を利用した深夜の上映会というのは今後増えていく可能性がありそうです!

既に「シネ・リーブル池袋」では1年間毎日アニメが上映される「アニメZONE」がスタートしています。
そうした試みが夜中にも行われるようになっていくのではないでしょうか?

シネコンの誕生で絶叫上映や応援上映、ライブビューイングやディレイビューイングなど選択肢の幅も広がっています。
アニメイトさんなども今後はナイトタイムエコノミーの推進と共に深夜営業が行われていく可能性があるかもしれません。

どちらにせよナイトタイムエコノミーを実施する場合、「豊島区アフター・ザ・シアター」の中心になるのは「Hareza池袋」を中心としたエリアです。そしてその場所はオタク街の中心地でもあるので、周辺の店舗にも大きな影響が出ることが考えられます。

深夜営業、夜が長くなることで心配されるのは治安の悪化です。
幸いな事に池袋は繁華街が密集しており、「Hareza池袋」エリア、「サンシャイン60」エリアと極めて狭い範囲に固まっています。

安心・安全を担保する為には、エリアをこの範囲に限定することで監視を強化し、治安の維持を図るという形になるのではないでしょうか。狭い範囲であれば目が届き易くなるので、街中に拡散されるより管理し易いでしょう。

この辺は「池袋ハロウィンコスプレフェス」で学んだことの一つで、初年度は開催範囲を広くしすぎて問題が発生しましたが、次年度からはエリアを限定することでかなり改善されました。

池袋はナイトタイムエコノミーでも「劇場」を全面的に打ち出しているので、クラブのようなものはあまり含めたがらないと思われます。こういったところは渋谷との差になっていそうですが、何をナイトタイムエコノミーの主軸にするのかといったことも今後は街づくりの重要な要素になっていきそうです!

深夜の消費を増やすことは意外と難しい問題です。
たださえ人出不足と言われる中、夜に営業することは人材の確保や人件費等、店舗の負担に繋がります。

そうした観点からも範囲は限定すべきですが、そうなると意外とナイトタイムエコノミーで出来そうな事は限られてくるので、池袋の場合、「Hareza池袋」など、範囲内に含まれる劇場を使った何かに収束していくことになります。個人的には「グランドシネマサンシャイン」でアニメ実況とか面白いんじゃないかと思いますが、夜の上手い使い方というのはこれまでにない発想が求められています。

たまにコスプレイベントの「アコスタ」なども夜開催されたりしていますが、あれもナイトタイムエコノミーの一環といって良いのではないでしょうか。ああいった試みが今後池袋では増えてくるということですが、オタク層的にも全く無縁ではないだけに、どのように夜の時間を活用していくのか、まだまだ議論が必要になっていきそうです。

「Hareza池袋」付近のエリアに限定すれば危ないお店もありませんし、夜もそこまで問題ないのでは?
池袋西口とかになってくるとまた話は違ってきますが、とはいえ池袋西口公園もリニューアルが完了しましたし、夜にクラシック演奏なども行われていくそうなので、西口でも徐々に進めていくのでしょう。西口の場合、東京芸術劇場周辺のエリアに限定した方が良さそうですが、もともと繁華街でもあるので、あまり意味がなさそうですけど。

そういったところもとにかくやってみないと分からないナイトタイムエコノミー。
果たして池袋で上手くいくのでしょうか?

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