「コスプレホストタウン宣言」の名古屋、「改悪」規制強化で迷走か?

「コスプレの聖地」名古屋が揺れている!

「世界コスプレサミット」の開催地として知られる名古屋。
2003年から始まった「世界コスプレサミット」は、開催を重ねる毎に規模が拡大し、名実ともに「世界」=グローバルなイベントへと成長していきました。

もともと名古屋には大須などの「オタク街」もあり、「世界コスプレサミット」の成功も相まって、名古屋としてもコスプレを一つのアピールポイントとして積極的に宣伝してきてました。その甲斐あって、現在では名古屋と言えば「コスプレ」というイメージが定着しています。

さて、そんな名古屋ですが、ここに来て大きな転換点を迎えているようです。
2月15日、16日に愛知県名古屋市で開催され炎上する事態となった「アニゲーフェス」の余波そのままに再び問題が顕在化。

何があったかというとTwitterなどで検索してもらえればすぐに分かるのですが、簡単に言うと運営体制の不備です。

当日になっていきなりレギュレーションが変更。被り物系のコスプレが禁止となり、参加者が追い返される事態に発展しました。その他、盗撮やクロークなどでも問題が山積していたそうですが、その為、初日に大炎上となり、それを受けて急遽2日目には緩和されるなど対応も迷走。一部参加者にとって非常に後味の悪いものになってしまったようです。因みに運営は池袋でもお馴染み「アコスタ」さんです。関西・中部なのでアコスタ西(WEST)ですね。

と、ここまではこれまでの経緯なのですが、話はそれで終わずここにきて再び新たな問題が持ち上がっています。

・コスプレホストタウン
https://mottodaisuki.city.nagoya.jp/concierge/

に掲載されている各市内の施設の規約が変更され、フルフェイスのコスプレを一切禁止する文面が追加されました。
この規制はガワコスが規制されるだけではなく、いずれ全てのコスプレの表現規制に繋がりかねない問題をはらんでいます

「コスプレホストタウン宣言」を行っている名古屋市ですが、規約が改訂。
「名古屋市公認コスプレ施設」内にて、「アニゲーフェス」で揉めた規制そのままにガワコス(顔を覆い隠すフルフェイス)のコスプレが正式に禁止となりました。

それを受けて有志の方より、規制緩和の請願が出されている状況となっています。

このままの規制だと、例えばコミケなどで「トトロ」のコスプレを見かけた事がある人も多いかと思いますが、当然規制対象になります。仮面ライダーを始めとした特撮系なども完全アウトです。フルフェイスコスプレの定番『デュラララ!!』の「セルティ・ストゥルルソン」なんてとんでもない!😤

詳細は「コスプレホストタウンに記載されている名古屋市施設利用規制について緩和のお願い」の請願で触れられています。
賛同者を募集しているので、是非目を通してみてください!

数は力なので、多く集まればそれだけ無視出来なくなります。
「コスプレホストタウン」を掲げておきながら、実際には全くコスプレに対して理解のない自治体だというネガティブなイメージが付けば「世界コスプレサミット」の長年の功績も水泡に帰します。

このトピックスに触れる辺り、過去の「世界コスプレサミット」の参加者を調べてみると、中にはフルフェイスで『ウルトラマン』に登場する「バルタン星人」や『ONE PIECE』(ワンピース)に登場する「ブルック」のコスプレをしている方もいたのですが、これらのコスプレも規定通りならアウトなわけで、とても整合性が取れているようには思えません。

昨年開催された「世界コスプレサミット2019」。
映像の中にガワコスの参加者がいることが分かる。

そもそも名古屋といえば、「あいちトリエンナーレ」で天皇陛下の肖像画を燃やしておきながらそれを表現の自由だと強弁していたはず。

コスプレの表現の自由は守られなくて良いのか!?

豊島区も無縁ではない?

豊島区さんとしても無縁ではありません。
毎月定期的にアコスタが開催されている池袋ですが、豊島区としてもコスプレを区の魅力として全面に打ち出すに辺り、名古屋と「世界コスプレサミット」の取り組みを大きく参考にしています。2014年から開催されている「池袋ハロウィンコスプレフェス」は、将来的に西の「世界コスプレサミット」、東の「池袋ハロウィンコスプレフェス」と呼ばれるようなイベントに成長させていくという事を一つの目標にしているそうです。

よって今回のこうした問題は豊島区としても決して無縁ではありません。
行政とコスプレ文化がWin-Winだからこそ協力出来ていたのが、自分達に都合の悪いものを排除してWin-Loseの関係になってしまえば後に残るのは不信感と遺恨だけで、以前と同じような関係性を構築するのは非常に難しくなるだけに、名古屋市は対応如何によっては今後自縄自縛になっていくかもしれませんね。

なんだかんだ言ってこういった問題の本質は、「美味しいところだけ利用したい」という所に尽きるので、そういうのが見えてしまうと途端に冷めます。

豊島区さんとしても全力だからこそ受け入れられているわけで、勿論、公序良俗に反した過度な露出など規制すべきコスプレというのもありますが、今回のようなガワコスなども一切禁止といった「選別」をするのは本来のコスプレ文化としては相容れないだけに根深い問題となっていきそうです。

現在の東京都知事も「選別」で痛い目に遭ったしね!😭

「コスプレ」は何時から独立した?

今回のこの問題は、起こるべくして起こったのではないかという気がしています。遥かずっと以前からこうなる予兆というのがあったのではないでしょうか。

というのも、「コスプレ」は何時コスプレとして独立したのか?

という疑問です。
これはこれまで意図的に見過ごされていた部分だと思うのですが、遡って思い出してみると、初期の頃「コスプレ」は「同人即売会」と1セットでした。

それこそコミケで愛好家が集まり同人という文化で交流する。その中に内包されている多彩で多様な表現の一環として「コスプレ」があり、「同人誌即売会」と「コスプレ」イベントが共同開催していたわけではなく、同人誌即売会の中に含まれている自分の「好き」を表現する一つの手段としてコスプレがあり、「二次創作」という点では同じカテゴリーでした。同人誌はオリジナルの一次創作もありましたが、コスプレはほぼ二次創作ですよね。

故に二次創作の同人誌とコスプレは本来同じものでしたし、あくまでも愛好家同士の集まりの中でやっていた表現であって、少なくとも当時はそこに差はなかったように思います。コスプレも同人誌も二次創作である限り同じようにあまり表立って派手にやるものではないという認識が過去にはあったはず。

しかし何時頃からか「コスプレ」は、コスプレイヤーさんが増え、撮影スタジオなども登場し、見た目にもどんどん華やかになり単独で開催出来る規模になっていきました。

それはそれで良いのですが、一方でどんどん「同人誌即売会」からの切り離しも進むことに。

今でも二次創作の同人誌で過度な商業主義に走ると批判のやり玉に挙がりますが、基本的に二次創作の同人活動が現在でもそうした裏の文化、日陰であることを良しとしているのに対し、コスプレはどんどん表立って活動するようになっています。プロダクションの設立によるプロ化などが最たる例ですが、二次創作の同人誌を同人作家を集めて商業ベースでやりますとなったら滅茶苦茶叩かれるのは間違いありません😅

じゃあ何故そこで「コスプレ」は有りなのか?
といったら、都合が良いから、要はWin-Winだからですよね。

宣伝になりますし、単純に最近では企業からの依頼も増えて、そうした需要があってこそのプロダクション化の流れがあり、版元の企業の方がコスプレイヤーさんに仕事を依頼するようになってくると、ますますそこはもうボーダレスになり「同人誌即売会」に内包されていた頃のコスプレとは全く性質が変わっています。

逆に言えば、時として如何わしい本なども頒布している同人誌即売会と一緒だと困る!

ましてや企業のみならず、今では名古屋や豊島区など自治体が後援するのに、「薄い本」と同じカテゴリーだったら問題になるに決まってる。だから切り離しが行われてきたし、そっちは言ってしまえば邪魔でしかないわけですよね。

この段階で既に排除が行われてきた結果として今に至るのだとすれば、そして今また新たにガワコスなど「都合の悪い」表現が排除されようとしているフェーズに入ったと考えると、今回のような騒動は起こるべくして起こっているというように思えてなりません。

今後もどんどん同様の問題が顕在化していくのではないかと思うのですが、そもそもあのトリエンナーレを強行したほど表現の自由を愛してやまない愛知県が表現を規制するなんて到底思えないんだ!😊😊😊

「コスプレホストタウン」なる大仰な宣伝をしておきながら、一方足元ではこういった規制が進んでいるというのでは誰もそんな宣言を真に受けないでしょうし、「コスプレ」に対してどういったハンドリングを行うのか、そもそも「世界コスプレサミット」自体にフルフェイスのコスプレ参加者がいるという相反する矛盾した現状があってのこれなので、この問題はかなり尾を引く事になりそうです。

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